産後、保育器に入ることになったとき

産後すぐに何かしらの理由で保育器を使うこともあるかもしれません。
どういったときに入るのか?その基準や費用、どうしたら保育器に入らずに済むのかなどについては、別の記事に書いたのですが、そもそもどうして入った方がいいのか疑問に思ったので調べてみました。
保育器って周りから見るとただの滅菌空間なだけですよね。
何がどういいのかわからなかったのですが、調べてみて見た目以上にハイテクな空間だってことがわかったのでまとめてみました。
保育器の機能
保育器はお母さんの胎内環境に近づけるために4つの機能が備わっています。
保温
一つ目は保温です。
未熟に生まれた赤ちゃんは、自分で温まる能力が低くて体温調節機能がまだ十分ではありません。
ママのお腹の中は体温で温められていて、成長するにつれて体温調節機能もできるようになるのですが、早く生まれた子はまだできないことも多いのです。そのため、保育器でしっかりと保温をする必要があります。
新生児は暖かい空間でなければ十分に成長をすることが出来ません。人は体温を維持するためにたくさんのエネルギーを使います。
体を成長することを第一に考えなければいけない新生児は、体を温めるだけで余計なエネルギーを使ってしまいます。
保育器で常に一定の体温を保ち保温をすることで、無駄なエネルギー消費を減らして成長のみに力を注ぐこともできます。
また、大人でも体温を上げることで免疫力を高めると言った医師の著書があるように、健康と体温はとても関係が深いのでしょうね。
加湿
二つ目は加湿です。
汗をかいて体温を下げるのと同じように肌の水分が蒸発をすると体の体温がどんどん奪われていきます。
体温が低くなると体力を消耗してしまうので、体力を保つためにも保育器内でしっかりと加湿をすることはとても大切です。
特に、かなりの未熟児で生まれた場合は保育器内で80パーセントから90パーセントほどの高湿度の空間を保つのです。
感染防止
三つめは感染防止です。
赤ちゃんはとても抵抗力が弱いので感染しやすくなっています。保育器内は赤ちゃんにとって快適な空間になっていますが、高温多湿なので細菌も繁殖しやすい空間になっているのです。
そのため感染対策も万全に行わなければいけません。保育器内では感染を予防するために、空気フィルターをろ過して細菌などの侵入を防いでいます。
酸素供給
最後は酸素供給です。
赤ちゃんはまだまだ臓器が未発達です。特に保育器に入るような赤ちゃんは肺が十分に成長しておらず、十分に酸素を取り込めない可能性が高かったりします。
酸素を供給してきちんと呼吸が出来るように高濃度の酸素を送り込んでいるのです。
「加温・加湿・感染予防・酸素」これらの性能があるからこそ、赤ちゃんの成長を安心して見守ることが出来るのです。
保育器の種類
保育器は大きく分けて3つの種類に分けることが出来ます。
定置型保育器
一つ目は定置型保育器です。
温めた空気を保育器の中で循環させて保湿をする機械となっています。一番一般的な保育器はこのタイプといって良いでしょう。
テレビなどで見かけることが多いのも、定置型の保育器です。
開放型保育器
二つ目は開放型保育器です。
上部分にヒーターが取り付けられていて、そこから熱を送りこむ開放型の保育器となっています。
出産直後や外科的措置として使うことが多いでしょう。短時間のみ保育器を使う場合にはこのタイプが使われることがほとんどです。
運搬用保育器
三つめは運搬用保育器です。
名前の通り、赤ちゃんを運搬するときに使うための少し特殊な保育器です。移動をするときはバッテリー電源を使い保湿を行いながら輸送をすることが出来ます。
どんな基準で入るの?
保育器に入る基準は、一般的には2,500グラム以下だといわれています。病院によって基準は違うみたいですが、多くの病院は2,500グラム以下が未熟児だと判断され保育器に入れて様子を見ることが多いのでしょう。
赤ちゃんは基本的には3,000グラム前後で産まれてきます。3,000グラムより小さい場合もありますし、3,500グラム以上で産まれてくる場合も多いでしょう。
しかし2,500グラム以下で産まれた場合は、たとえ40週前後で産まれたとしても生命力が弱いため、もう少し大きくなるために保育器で成長を見守るケースも多いそう。
また、グラム数だけではなく週数で保育器に入るかどうか判断する場合もあります。
時期の目安は正産期
週数での判断基準は明確に決められている病院は少ないですが、正産期よりも前に産まれると保育器に入る可能性が高いでしょう。正産期とは妊娠37週~41週目までの間の出産のことをいいます。
かなりの早産の場合は保育器に入ることが多いことはイメージされやすいですが、正産期の少し前、33週34週くらいに産まれた場合も肺などが十分に育っていない可能性が高いので保育器に入って経過を見ることがあります。
ただし、早産の場合でも、2,500グラム未満で産まれた場合でも、経過が順調だった場合や産まれたときに問題がなければ保育器に入れることなくそのまま育っていく可能性もあります。
保育器に入る明確な基準はなく、産院や医師の判断で決められることが多いでしょう。
早産と保育器
妊娠何週目から保育器を使うか?どうして使うのかは一言では明確に言えません。なぜなら赤ちゃんの胎内の成長経過によって変わってくるからです。
一般的に、妊娠22週0日から36週6日までが早産とされています。
22週で産まれても今の日本の技術では22週まで成長していてほかに問題がなければ保育器に入って過ごすことで無事に成長することが出来る可能性があります。
37週0日目からは正産期となり、この期間に産まれれば身体機能や臓器が十分に育っているため保育器に入らずに成長できる赤ちゃんが多いでしょう。
もちろんこの期間に産まれても成長が十分に行われていなければ保育器に入って成長を見守ることとなります。
赤ちゃんの成長は人によって全く違います。そのため、22週に産まれても大丈夫な場合もありますし、保育器に入っても成長が難しい場合もあります。
もちろん正産期に産まれても保育器に入る子もいれば入らない子もいるのです。
もし、保育器に入ることになったら
いつ出産するかは誰にも予想がつかないし、日本は世界でもトップクラスの医療技術の高さ・救急医療などの充実・衛生的な環境と整っているので保育器もかなり精度は高いのですが、ママのお腹の中にはかないません!
やっぱりできるだけ予定日近くまでお腹の中で成長させてあげることが一番良いんですね。
ただ、ママが転倒に気を付けたり軽い運動をして健康を保ったり、体に良い生活をしていても赤ちゃんのタイミングで決まるのが出産。
もし、思っていたよりも早く生まれてきて保育器に入ることになったとしても誰にも予想も責任もないこと。
ママによっては自分を責めてしまうかもしれませんが、それよりもいま赤ちゃんのためにできることをしてあげるのがいいですよね。
ママも産後は体がボロボロなので、できるだけ自分の体を回復させて元気に赤ちゃんのお世話をできるように備えておくのも赤ちゃんのためになりますよ。
赤ちゃんのことを信じて祈りながら、笑顔で語りかけたりしてあげてみてはどうでしょうか。